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水の流れと石 

庭を作るには建築と同時に設計するのが良いとある本に書いてあった。 だが庭のお仕事のご依頼の大半が建築が終わった後である事が多い。 予算の関係で残ったお金で庭は検討するという考えもわからなくはないが、、

古くから残る建築などではまずは庭の設計からしていたとも聞く。  地形から水の流れ、日当たりなど五感を研ぎ澄ませて設計していたのだろう。 そういう能力が近代化によってどんどん失われているような気がするのは僕だけだろうか? 自分自身も同じだが、少しでもそういう自然を読む能力を身に付けたいと日々思う。

今回施工させていただいたお庭は幸運なことに建築前にご相談をいただき、現地調査に伺えた。裏山からの土留めをコンクリート擁壁で止めてあり、あきらかに山から滲み出る水が滞水しており匂いも異臭を放ちヤブ蚊は大量発生、土はグライ化しておりまるで呼吸不全。 コンクリート擁壁は一時的に排水パイプで水が出ているようだが数年で機能しなくなる事がほとんどのよう。 その例が各地で起こる土砂崩れにつながっているのだという。  じゃどうすればいいのだ? 自分なりに勉強し先人達の文献を読み経験者にアドバイスを求め導き出された案はコンクリートを撤去して石積みにする。 一生住むことになるであろう家を快適に過ごせるよう良い気が流れる空間にできたらとそんな思いをお施主さんに伝え、施工が始まった。

施工前に和歌山の熊野那智大社を訪ね昔の石積みを研究。重機など無い時代にどうやって積んだのだろうか?圧巻の石積み 那智大社

その数日後の雨の多い時季にスタート。

コンクリート擁壁撤去後、まるで沼のような土地に石積みなんかできるのだろうか?  いきなり難関が訪れ、応援に来てくれていたメンバー達とも相談するが答えは出ずうろたえていると大雨が降ってきた。頭を冷やせと言われたようで工事は中断。

環境改善をメインでお仕事をされている”雨の森”の轟さんにアドバイスを求めた。すると胴木といって丸太を下に引いて石を積んでいくという方法があるという。お城の周りの池周りに石垣を作る際などに使われた技法らしい。松の木がベストみたいだが、ここは宮崎、日南なので船にも使用される飫肥杉を使用した。

山から滲み出る水は止まることなく溜まった水が両サイドに流れるよう胴木を並べその周りをグリ石で小端立てしていく。下地をしっかり作ってからようやく石を積む作業に取り掛かる。

石を積んでいく途中で初めは嫌な匂いがしていた周りの土もどんどん匂いがなくなりヤブ蚊も減って周りの環境がどんどん改善されていくのを作業する皆が感じた。大地が呼吸を再開して風の流れも良くなっていくようだった。

今回使用した石は災害現場で捨てられるはずだった石を環境改善の石積みとして使用、コンクリート擁壁の残骸も石積みの裏に裏グリとして利用した。

真夏の炎天下での石仕事がこれほどハードだとは思っていなかった、、、石の蓄熱によりまるでサウナの中で仕事しているような気持ちだったが、働いてくれた仲間達のおかげでどんどんと形になっていく。大きな石の階段。自然石を利用して造っていく空間は答えがないのも面白い。今回は渓流のようなイメージを感じさせるような自然な積み方を心掛けた。

山から滲み出る水を浸透させながら排水へ導く。建築前にしかできない大工事をさせていただき自宅から眺める空間がコンクリート擁壁から石積みのある空間に。

次回は建築後のお仕事を書きたいと思います。

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